「節約したいけれど、我慢ばかりの生活はつらくて続かない」「気づけば毎月、コンビニやカフェで数百円ずつ使っている」——こうした声は、家計相談の現場で本当によく耳にします。そんな方にこそ試していただきたいのが、今回ご紹介する「つもり貯金」です。
つもり貯金とは、「買ったつもり」「使ったつもり」でその分のお金を貯金に回す、ゲーム感覚で楽しめる貯金法です。銀行員時代から独立後まで、延べ1,000件以上の家計面談で感じるのは、「貯金は仕組みよりも“続けられるかどうか”がすべて」だということ。つもり貯金は、まさに続けやすさに特化した方法だと言えます。
この記事では、つもり貯金の仕組みと具体的なやり方、年間でいくら貯まるのかのシミュレーション、そして無理なく続けるコツと注意点までを、元銀行員FPの視点でやさしく解説します。読み終えるころには、「これなら自分にもできそう」と感じていただけるはずです。

この記事でわかること
- つもり貯金の仕組みと、似た貯金法との違い
- 今日から始められる、つもり貯金の具体的な3ステップ
- 年間でいくら貯まるかの試算と、無理なく続けるコツ・注意点
つもり貯金とは?仕組みと「ノーマネーデー」との違い

つもり貯金とは、本来なら使っていたはずのお金を、「買ったつもり」にして貯金へ回す方法です。たとえば、いつもは仕事帰りにカフェでコーコーを買うところを、今日は「飲んだつもり」でその400円を貯金箱や別口座へ移します。実際には使っていないお金なので、生活の質を大きく落とさずに貯金額を積み上げやすくなります。
つもり貯金が続けやすい理由
一般的な節約は「支出を我慢する」ことに意識が向きがちで、ストレスから途中で挫折してしまう方が少なくありません。一方つもり貯金は、「使わなかった分が目に見えて増えて増えていく」という達成感が得られるため、ゲーム感覚で楽しみながら取り組めるのが特徴です。数字が増えていく実感が、次のモチベーションにつながりやすくなります。
ノーマネーデーとの違い
似た方法に「ノーマネーデー(1日お金を使わない日をつくる取り組み)」がありますが、つもり貯金とは考え方が少し異なります。ノーマネーデーは“支出そのものをゼロにする日”をつくるのに対し、つもり貯金は“使ったつもりの金額を貯金に振り替える”という仕組みです。両者は相性がよく、組み合わせて実践することで貯金のペースを高めやすくなります。
つもり貯金のやり方|今日から始める3ステップ

つもり貯金は、特別な道具や知識がなくても始められます。ここでは、実際に家計相談でお伝えしている基本の3ステップをご紹介します。
ステップ1:つもりにする「対象」を決める
まずは、どの支出を「つもり」にするかを決めます。毎日のカフェ代、コンビニのお菓子、自販機の飲み物、外食のランチなど、「なくても困らないけれど、つい使ってしまうもの」が向いています。最初はひとつか二つに絞ると、無理なく習慣化しやすくなります。
ステップ2:貯金の「置き場所」を決める
つもりにした金額をどこに貯めるかを決めます。現金派なら貯金箱、キャッシュレス中心の方なら貯金専用の別口座やアプリの貯金機能が便利です。ポイントは、生活費の口座とは分けて“見えるかたち”にすること。増えていく様子が確認できると、続ける励みになります。
ステップ3:使ったつもりで「即・移動」する
「飲んだつもり」「買ったつもり」と思ったら、その場でその金額を貯金箱や別口座へ移します。後回しにすると忘れやすいので、その場で動かすのがコツです。キャッシュレス派の方は、就寝前など決まった時間にまとめて振り替える方法でも構いません。記録が苦手な方は、手書き家計簿のすみにメモしておくと管理しやすくなります。
つもり貯金の効果は?年間いくら貯まるかシミュレーション

「小さな金額を貯めても意味があるの?」と感じる方もいるかもしれません。そこで、身近な支出を「つもり」にした場合、1年間でどのくらい貯まるのかを試算してみました。以下はあくまで一例です。
| つもりにする項目 | 1回あたり | 頻度(月) | 月間 | 年間 |
|---|---|---|---|---|
| カフェのコーヒー | 400円 | 12回 | 4,800円 | 57,600円 |
| コンビニのお菓子 | 200円 | 16回 | 3,200円 | 38,400円 |
| 自販機の飲み物 | 160円 | 20回 | 3,200円 | 38,400円 |
| ランチ外食→手作り弁当の差額 | 300円 | 8回 | 2,400円 | 28,800円 |
| 合計 | — | — | 13,600円 | 163,200円 |
4項目すべてを実践すると、月あたり13,600円、年間では163,200円になります。手取り20万円の方であれば、収入のおよそ6.8%に相当する金額です。もちろん、これは4つすべてを毎回つもりにした場合の理論値ですので、実際にはできる範囲で構いません。たとえば「1日100円だけ」でも、365日続ければ年間36,500円になります。
ここで気をつけたいのは、つもり貯金はあくまで「使わなかったお金を貯める」方法だという点です。生活に本当に必要な支出まで我慢して体調を崩したり、ストレスで反動買いをしてしまっては本末転倒です。無理のない範囲で続けることが、結果的にいちばんの近道になります。
「つもりにしたつもりが、いつの間にか使途不明金になっていた」という失敗を防ぐには、支出の全体像を把握しておくことも大切です。お金の流れが見えにくいと感じる方は、使途不明金の減らし方もあわせてご覧ください。
手書き家計簿と組み合わせると、つもり貯金の記録と支出管理を一度に進められます。まずは気軽に始めたい方は、下記のLINE特典もご活用ください。
つもり貯金を無理なく続ける5つのコツ

つもり貯金は手軽に始められる一方で、「気づいたら忘れていた」「途中でやめてしまった」という声もあります。長く続けるために意識したいコツを5つご紹介します。
コツ1:金額の設定は小さく始める
最初から「1年で50万円」など高い目標を掲げると、達成できなかったときにモチベーションが下がりやすくなります。まずは1日100円、あるいはコーヒー1杯分から始め、慣れてきたら少しずつ対象を増やしていくのがおすすめです。
コツ2:貯まった金額を「見える化」する
透明な貯金箱を使う、アプリで残高を確認するなど、増えていく様子が目に入る工夫をすると続けやすくなります。数字が増える楽しさが、次の一歩を後押ししてくれます。
コツ3:目的を決めておく
「旅行の資金にする」「気になっていた家電を買う」など、貯めたお金の使い道を先に決めておくと、我慢ではなく“前向きな貯金”として取り組みやすくなります。
コツ4:記録する時間を決めておく
就寝前の5分など、記録するタイミングを生活のルーティンに組み込むと習慣化しやすくなります。歯みがきのように「毎日この時間」と決めてしまうのがコツです。
コツ5:他の貯金法と組み合わせる
つもり貯金は少額をコツコツ貯める方法なので、まとまった額を確実に貯めたい場合は、収入からあらかじめ一定額を分けておく方法と併用すると効果を高めやすくなります。なかなか貯金が続かないと感じる方は、貯金できない人の共通点もチェックしてみてください。
つもり貯金のメリット・デメリットと注意点

どんな方法にも向き・不向きがあります。始める前に、つもり貯金のメリットとデメリットの両方を知っておきましょう。
つもり貯金のメリット
最大のメリットは、我慢のストレスが少なく、ゲーム感覚で楽しみながら続けやすいことです。特別な準備がいらず、今日からすぐに始められる手軽さも魅力です。また、「つもり」にする過程で、自分がふだん何にお金を使っているかに気づきやすくなり、節約意識そのものが高まりやすくなります。
つもり貯金のデメリット・注意点
一方でデメリットもあります。まず、1回あたりの金額が小さいため、短期間でまとまった額を貯めるのには向いていません。また、貯金へ移すのを忘れたり、自己申告制ゆえにあいまいになりやすいという弱点もあります。「つもり」を口実に本来必要な支出まで削ってしまうと、生活の質が下がったり、反動でかえって使いすぎてしまうこともあります。あくまで“余裕のある範囲で”を心がけましょう。
なお、老後資金や教育資金といったまとまった資金づくりには、つもり貯金だけでなく、家計全体の見直しや資産形成の検討も欠かせません。ご自身の状況に合った進め方を知りたい場合は、専門家に相談してみるのもひとつの方法です。
よくある質問(FAQ)
Q.つもり貯金は月にいくらから始めればいいですか?
A.決まった金額はありません。まずは1日100円、月にすると3,000円程度など、負担に感じない金額から始めるのがおすすめです。続けられそうなら、少しずつ対象を増やしていきましょう。無理な金額に設定すると、途中で貯金を取り崩してしまい逆効果になりやすいため注意が必要です。
Q.現金とキャッシュレス、どちらが向いていますか?
A.どちらでも構いません。現金派の方は透明な貯金箱に入れると増える様子が見えてモチベーションになりますし、キャッシュレス派の方は貯金専用の別口座へ移す方法が便利です。大切なのは、生活費とは分けて管理することです。
Q.つもり貯金だけで老後資金は準備できますか?
A.つもり貯金は少額をコツコツ貯める方法のため、それだけで老後資金のような大きな金額をまかなうのは現実的ではありません。あくまで貯金習慣づくりのきっかけと考え、必要に応じて家計の見直しや、目的に合った資産形成の方法もあわせて検討することをおすすめします。
Q.なかなか続きません。どうすればいいですか?
A.続かない原因の多くは、金額の設定が高すぎることと、記録のタイミングが決まっていないことです。金額を下げ、就寝前など決まった時間に記録する習慣をつくると続けやすくなります。他の貯金法と組み合わせるのも効果的です。
まとめ:つもり貯金で「楽しく続く」貯金習慣を
- つもり貯金は「使ったつもり」でその分を貯金に回す、続けやすい貯金法
- やり方は「対象を決める→置き場所を決める→即・移動する」の3ステップ
- 身近な支出をつもりにすると、年間で数万円〜十数万円を貯めやすくなる(金額は一例)
- 小さく始め、見える化し、目的を決めることが続けるコツ
- 少額中心のため、まとまった資金づくりには他の方法との併用が安心
つもり貯金の魅力は、我慢に頼らず「楽しみながら」貯金習慣を身につけられることです。まずはコーヒー1杯分からでも構いません。小さな一歩の穏み重ねが、1年後の家計を大きく変えていきます。
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