年間収支表の作り方|1年のお金の流れを元銀行員FPが解説

「毎月の家計簿はつけているのに、1年たつと思ったほどお金が残っていない」と感じる方は多いです。
「結局、わが家は年間で黒字なのか赤字なのかよくわからない」との声もよく聞きます。
同じモヤモヤを感じていませんか?

原因の多くは月ごとの家計簿だけを見て、ボーナスや年払いの支出を含めた「1年分のお金の流れ」をつかめていないことです。
「1年分のお金の流れ」をつかむのに役立つのが年間収支表です。
本記事では年間収支表の作り方を、集める数字・集計の手順・見直しのポイントの順に解説します。

銀行員時代から家計相談の現場まで、延べ1,000件以上の面談でお金の相談を受けています。
「年間で見たら思っていたほど貯まっていなかった」と気づくご家庭は多いです。
逆に、一度年間収支表を作ったことで、翌年の貯蓄計画をスムーズに立てられるようになった方も多くいらっしゃいます。

年末に向けて1年を振り返るタイミングは、年間収支表を作り始める絶好のチャンスです。
紙とペン、または表計算ソフトがあれば今日から始められます。
一緒に手を動かしてみてください。

年間収支表を作って1年のお金の流れを確認する30代夫婦のイラスト

この記事でわかること

  • 年間収支表の意味と月の家計簿との違い
  • 年間収支表の作り方5ステップと具体的な記入例
  • 黒字・赤字がわかった後の見直し方と注意事項
目次

年間収支表とは?月の家計簿ではわからない「1年の黒字・赤字」がわかる表

月の家計簿と年間収支表を見比べる女性のイラスト

年間収支表とは1年間(1月〜12月など)の収入の合計と支出の合計を1枚にまとめた表です。
年間でいくら黒字(または赤字)だったのかを確認するために使います。
家計の「通知表」のようなものとイメージしてください。

月の家計簿との違い

月の家計簿は日々の支出を記録して、「今月は使いすぎていないか」を確認する道具です。
一方、年間収支表は月の家計簿の結果にボーナスや特別費(年に数回しか発生しない支出)を加えます。
年間収支表は1年単位で家計の実力を確認する道具です。

例えば「毎月4万円黒字」でも、夏の旅行・車検・冠婚葬祭などでボーナスが消えていれば、1年で見た貯蓄額は想像を下回ります。
月単位の家計簿だけでは、年単位のズレに気づけません。

年間収支表を作るメリット・デメリット

年間収支表のメリットは3つあります。
①家計の本当の貯蓄力(年間でいくら貯められるか)がわかることです。
②来年の予算や貯蓄目標を根拠のある数字で立てられます。
③ライフプラン表を作るときのベースにもなるでしょう。

デメリットは1年分の数字を集める手間がかかることです。
家計簿をつけていない月があると、数字が不正確になる弱みもあります。
ただし、完璧を目指す必要はありません。
口座の入出金明細やカードの利用明細から「だいたいの数字」をつかむだけでも、十分に効果があります。

年間収支表の作り方5ステップ|集める数字と計算方法

通帳や明細を集めて年間収支表を作る男性のイラスト

以下では年間収支表の作り方を5つのステップで解説します。
手書きのノートでも表計算ソフトでも、やり方は同じです。

ステップ1:対象期間を決める

まずは「いつからいつまで」を集計するか決めましょう。
1月〜12月の暦年で区切ると、源泉徴収票や年末調整の書類と照らし合わせられるのでおすすめです。
家計簿を4月始まりでつけている方は、4月〜翌3月でも構いません。

ステップ2:年間の手取り収入を集計する

給与明細や口座の入金履歴から、手取り額を集計します。
額面(税金や社会保険料が引かれる前の金額)ではなく、実際に口座に振り込まれた金額で計算してください。
毎月の給与・ボーナス・副業収入・児童手当などを項目別に分けて書き出しましょう。

ステップ3:毎月の生活費(経常支出)を集計する

家計簿の月別合計を12か月分足し合わせます。
家計簿がない月は口座の引き落とし明細とクレジットカードの利用明細から推計してください。
住居費・食費・水道光熱費・通信費などの項目に分けておくと、見直しの際に役立ちます。

ステップ4:特別費を集計する

旅行・帰省・自動車税や車検・冠婚葬祭・家電の買い替え・年払いの保険料など、毎月は発生しない支出をまとめます。
特別費は忘れがちなので、カード明細や通帳を1年分さかのぼって拾い出すのがコツです。

ステップ5:収入から支出を引いて年間収支と貯蓄率を出す

最後に次の計算をします。

  • 年間収支=手取り収入−(生活費+特別費)
  • 貯蓄率=年間収支÷年間の手取り収入×100

年間収支がプラスであれば黒字、マイナスであれば赤字です。
貯蓄率は家計の「貯める力」を他の年と比べるときの目安になります。

年間収支表の記入例|会社員世帯のケースで計算してみよう

電卓で年間収支を計算する30代女性のイラスト

以下では手取り月収28万円・ボーナス手取り年60万円の会社員世帯を例に、年間収支表を作ってみましょう。
金額はあくまで一例です。
ご家庭の状況に合わせて置き換えてください。

収入と支出の記入例

区分 項目 年間金額
収入 給与(手取り28万円×12か月) 336万円
ボーナス(手取り) 60万円
収入合計 396万円
支出 毎月の生活費(24万円×12か月) 288万円
特別費:旅行・帰省 15万円
特別費:自動車関連(税金・車検の積立) 10万円
特別費:冠婚葬祭 6万円
特別費:家電・家具の買い替え 7万円
特別費:年払いの保険料・会費 5万円
特別費:医療費・その他 5万円
支出合計 336万円
年間収支(収入合計−支出合計) 60万円の黒字

上の例では特別費の合計は48万円で、月あたりにすると4万円です。
年間収支は396万円−336万円=60万円の黒字です。
貯蓄率は60万円÷396万円×100で約15.2%となります。

特別費を見落とすと「貯まるはず」とのズレが生まれる

月の家計簿だけを見ると「毎月4万円の黒字×12か月=48万円」に、ボーナス60万円を足して「年間108万円貯まるはず」と考えがちです。
しかし実際には特別費48万円が出ていくため、残るのは60万円にとどまります。
「思ったほど貯まらない」原因の多くは特別費の見落としです。

特別費の項目の洗い出し方は特別費とは?項目一覧と年間予算の立て方で詳しく解説しています。
あわせて参考にしてください。

年間収支表で赤字・貯蓄不足がわかったときの見直し方

家計の見直しポイントをノートに書き出す夫婦のイラスト

年間収支表が完成したら、数字を「来年の行動」につなげることが必要です。
以下では赤字や貯蓄不足がわかったときの見直しの順番を紹介します。

まずは固定費から見直す

通信費・保険料・サブスクなどの固定費は、一度見直すと効果が毎月続くのが特徴です。
例えば月5,000円の削減でも、年間では6万円になります。
金額はあくまで一例です。
ただし保険の解約や見直しには、必要な保障まで外してしまうリスクがあります。
ご家庭の家族構成や貯蓄額を踏まえて慎重に判断しましょう。

特別費は「年間予算」を先に決めて月割りで積み立てる

特別費は年間収支表の実績をもとに来年の予算を決め、12で割って毎月積み立ててください。
ボーナスに頼らない家計に近づきます。
例の世帯であれば、特別費48万円÷12か月=月4万円を別口座に移しておくイメージです。

数字を記録する習慣づくりには、手書きの家計簿もおすすめです。
MoneyQuestのLINEでは、月ごとの支出を書き込むだけで年間収支表づくりにもつなげられる「かんたん手書き家計簿」をお配りしています。

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貯蓄率の目標は「無理のない範囲」で少しずつ上げる

一般的に手取りの1〜2割を貯蓄に回せると安心感が増すといわれています。
ただし子育て期や住宅購入直後などは、貯蓄率が下がる時期もあるでしょう。
他の家庭と比べるのではなく、昨年の自分の家計と比べて改善しているかを見ると長続きします。

年間収支表を続けるコツと注意点

カレンダーを見ながら年間収支表を更新する女性のイラスト

毎年同じタイミングで作る

年末年始やボーナス月など、作るタイミングを決めておくと習慣になります。
前年の表と並べれば、収入・支出・貯蓄率の変化がひと目でわかるでしょう。

「資産の増減」とあわせて確認する

年間収支表で黒字でも、預貯金の残高が増えていない場合は集計漏れの支出(使途不明金)がある可能性があります。
年末の預貯金残高を前年と比べ、年間収支の数字とかけ離れていないか確認してください。
なお、投資をしている場合は、値動きによる評価額の増減を収支と分けて考えると混乱を防げます。

完璧を目指さない

数百円単位まで合わせようとすると、作業が負担になり続かなくなります。
年間収支表の目的は「家計の大まかな傾向をつかむこと」です。
1万円単位で丸めても十分役立ちます。

よくある質問(FAQ)

Q1.家計簿をつけていなくても年間収支表は作れますか?

作れます。
年間の手取り収入と、年初・年末の預貯金残高の差がわかれば十分です。
「収入−貯蓄の増加分=支出」として、おおよその年間支出を逆算できます。
細かい内訳は翌年から記録していけば大丈夫です。

Q2.共働き夫婦は別々に作るべきですか?

家計を1つの単位として考えるのであれば、2人分の収入と支出を合算した表を1枚作るのがおすすめです。
お財布を分けている場合も、年に一度は合算して世帯全体の収支を確認しておきましょう。
教育費や住宅資金の計画を立てるときに役立ちます。

Q3.ふるさと納税や医療費控除の還付金はどこに入れますか?

還付金は収入の「その他」として記入してください。
ふるさと納税の寄附金は支出に入れておくと、実際のお金の動きと一致します。
税金の取り扱いについて詳しくは、税務署や税理士などの専門家にご確認ください。

Q4.年間収支が赤字でした。すぐに対策すべきですか?

一時的な出費(出産・引っ越し・車の購入など)による赤字であれば、過度に心配する必要はありません。
ただし、2年以上続けて赤字の場合は、固定費や生活費の水準を見直すサインと考えましょう。

まとめ:年間収支表の作り方を押さえて来年の家計を整えよう

  • 1年の黒字・赤字がわかる家計の通知表
  • 期間・手取り収入・生活費・特別費・収支の5ステップ
  • 「思ったほど貯まらない」原因の多くは特別費の見落とし
  • 見直しは固定費・特別費の積み立て・貯蓄率の順
  • 毎年同じ時期に作って前年と比べる習慣

年間収支表は一度作るだけで、わが家のお金の「クセ」が見えてきます。
数字が見えれば、来年の貯蓄目標やライフプランも具体的に考えられます。

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小椋 晃樹 Ogura Koki

1992年生まれ。国立大学経済学部卒業後、大手都市銀行に入行。 資産運用や住宅ローン、法人融資など幅広い業務に携わり、延べ1,000件以上のご相談を経験。

現在は独立系FPとして、理想の暮らしや将来に向けた資産形成をサポート。Instagramでは4.3万人超のフォロワーに向けて情報発信を行い、全国から300件以上のご相談をいただいている。

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