家計相談の現場では「子どもの大学費用は間に合うのか」「住宅ローンを組んでも老後は大丈夫か」との声をよく聞きます。
いちばん多いのが将来のお金に関するご相談です。
将来へのモヤモヤを解消する道具として、ライフプラン表をおすすめします。
ライフプラン表とは今後の年齢・ライフイベント・収入・支出・貯蓄残高を1枚の表に並べ、家計の将来を見える化した表です。
特別なソフトは要りません。
紙とペン、または表計算ソフトだけで十分です。
私は銀行員時代から独立後の現在まで、延べ1,000件以上の家計面談に携わっています。
面談の経験から見ると、ライフプラン表を自分で作った方はお金の不安の「正体」が数字で見えるようになります。
判断もぐっと軽くなるでしょう。
逆に、表を作らないまま住宅や保険の契約を決め、あとから苦しくなる例も多いです。
本記事ではライフプラン表を自分で作る手順を5つのステップに分けて解説します。
書き込む項目・記入例・よくある間違いまで順番に紹介します。
読み終えたら、今夜にでも1枚目を書いてみましょう。

この記事でわかること
- ライフプラン表の意味・家計簿との違い・自作の長所と短所
- 自分で作る5ステップと記入例つきの書き方
- 書く項目一覧・よくある間違い・見直しのコツ
ライフプラン表とは?家計の将来を1枚で見える化する表

ライフプラン表とは横軸に西暦(年)、縦軸に家族の年齢・ライフイベント・収入・支出・年間収支・貯蓄残高を並べた表です。
今後10年〜30年ほどの家計の動きを一覧にできます。
キャッシュフロー表とも呼ばれています。
家計簿との違いは「過去」か「未来」か
家計簿はすでに使ったお金を記録する「過去の表」です。
一方でライフプラン表は今後起こることを予想して書く「未来の表」です。
役割がまったく違うため、片方だけでは片手落ちになってしまいます。
| 比較項目 | 家計簿 | ライフプラン表 |
|---|---|---|
| 対象の期間 | 過去〜今月 | 今後10年〜30年 |
| 金額の細かさ | 1円単位が基本 | 1万円単位でも十分 |
| 主な目的 | 使いすぎの発見・改善 | 将来の資金不足の予測 |
| 更新の頻度 | 毎日〜毎月 | 年1回程度 |
家計簿で「今の支出の実力」をつかみ、数字をライフプラン表に流し込みましょう。
家計簿から表へ流す順番で作ると、将来の予測の精度が上がります。
家計の実額があいまいな方は、まず1〜2か月だけでも支出を記録してみてください。
ライフプラン表を自分で作るメリット・デメリット
専門家に作ってもらう選択肢もありますが、自作には固有の良さと短所があります。
両方を知ったうえで選んでください。
自分で作るメリット
- 費用ゼロで思い立った日に開始
- 数字を動かし家計の構造を体感で理解
- 転職や出産のときに即座に作り直し
- 商品の提案と無関係な中立の立場
自分で作るデメリット・注意点
- 税金・社会保険料・年金の見込み額を調べる手間
- 希望的な数字による甘い見通し
- 物価上昇率・利回りの前提ミスによる結論のぶれ
- 作って満足し見直さないままの放置
不安な部分は空欄のままでもかまいません。
まずは埋められる欄だけ埋めた「70点の表」を作りましょう。
あとから精度を上げていく進め方が、いちばん長続きします。
ライフプラン表を自分で作る5つのステップ

ここからは実際の作り方を5つのステップに分けて説明します。
用意するものは方眼紙・ノート・表計算ソフトのいずれかで十分です。
手書きで1時間、表計算ソフトで30分ほどが目安です。
ステップ1 家族の年齢を横に並べる
いちばん上の行に西暦を書き、下の行に家族全員の年齢を書き込みます。
期間はお子さんが独立するまで、または自分が65歳になるまでなど、目的に合わせて決めましょう。
迷ったら、まずは5年分から始めてください。
ステップ2 ライフイベントを書き込む
次に、年齢の行の下に「各年に起こる予定」を書きます。
入学・卒業・車の買い替え・住宅購入・リフォーム・定年・旅行など、お金が動くできごとを思いつくかぎり書き出してください。
書き出しのコツは確定していない予定も「仮」で置くことです。
例えば車の買い替えは、前回の購入から何年後かで置きます。
旅行は「3年に1回」と決めて置いても問題ありません。
仮の数字でも入れておけば、あとから実際の状況に合わせて直せます。
空欄のままにすると、見通しが甘くなってしまいます。
ステップ3 収入を入れる(手取りで書くのが鉄則)
収入欄には額面ではなく手取り額を入れてください。
目安は給与明細の「差引支給額」の年間合計、または源泉徴収票の支払金額から所得税・住民税・社会保険料を引いた金額です。
額面で書くと、実際には使えないお金まで計算に入ってしまいます。
将来の見通しも実態に比べて甘くなるでしょう。
額面と手取りを取り違える方が多いため、最初に確認してください。
児童手当や、共働きの場合は配偶者の収入も忘れずに入れます。
昇給の見込みが立たない場合は「横ばい」で置いても構いません。
むしろ横ばいのほうが、安全側の見通しになります。
ステップ4 支出を入れる(毎年の生活費と特別な支出を分ける)
支出は毎年かかる「基本生活費」と、特定の年だけかかる「特別な支出」に分けて書きましょう。
基本生活費は家計簿の月平均を12倍した金額で十分です。
特別な支出にはステップ2で書いたライフイベントの費用を当てはめます。
住宅ローンや教育費のように始まる年と終わる年がはっきりした支出は、別の行に分けてください。
別の行にしておくと、あとからの見直しが楽になります。
ステップ5 年間収支と貯蓄残高を計算する
最後に各年の「収入-支出=年間収支」を求め、前年の貯蓄残高に足していきます。
貯蓄残高の推移こそ、ライフプラン表でいちばん見たい数字です。
以下は35歳・33歳のご夫婦とお子さん1人(3歳)を想定した5年分の記入例です。
金額はすべてあくまで一例であり、実際の数字はご家庭ごとにかなり異なります。
| 西暦 | 夫/妻/子の年齢 | ライフイベント | 収入(手取り・万円) | 支出(万円) | 年間収支(万円) | 貯蓄残高(万円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年 | 35/33/3 | – | 540 | 450 | +90 | 390 |
| 2027年 | 36/34/4 | – | 540 | 450 | +90 | 480 |
| 2028年 | 37/35/5 | 就学準備 | 550 | 470 | +80 | 560 |
| 2029年 | 38/36/6 | 小学校入学・車買い替え | 550 | 530 | +20 | 580 |
| 2030年 | 39/37/7 | – | 560 | 460 | +100 | 680 |
| 5年合計 | – | – | 2,740 | 2,360 | +380 | – |
※開始時の貯蓄残高を300万円として計算しています。
あくまで一例です。
記入例では5年間の収支の合計が+380万円で、月あたり約6.3万円のペースで貯蓄が増える計算です。
貯蓄残高は300万円から680万円へ増えています。
ただし2029年だけは、車の買い替えで年間収支が+20万円まで落ち込む様子も読み取れるでしょう。
「どの年が苦しくなるか」を事前に把握できるのが、ライフプラン表のいちばんの価値です。
苦しい年が見えていれば、前年までに準備を厚くしたり、買い替え時期を1年ずらしたりと対策が取れます。
ライフプラン表に書く項目一覧|収入・支出・イベントの内訳

「何を書けばいいのかわからない」との声も多くいただきます。
以下の一覧を上から順に埋めていけば、必要な項目の抜けはほぼありません。
| 区分 | 主な項目 | 書き方のポイント |
|---|---|---|
| 基本情報 | 西暦・家族全員の年齢 | 最上段に置き、以降の行の目安に活用 |
| ライフイベント | 入学・卒業・就職・住宅購入・リフォーム・車の買い替え・旅行・定年・介護 | 未定でも「仮」で配置 |
| 収入 | 給与(手取り)・配偶者の収入・児童手当・退職金・公的年金 | 額面ではなく手取りで記入 |
| 基本生活費 | 食費・水道光熱費・通信費・日用品・被服費・交際費・小遣い | 家計簿の月平均×12で概算 |
| 住居費 | 家賃または住宅ローン返済・管理費・修繕積立金・固定資産税 | 終わる年が明確なものは別行で管理 |
| 教育費 | 保育料・学校納付金・塾・習い事・受験費用・入学金 | 進路の想定を1つに決めて記入 |
| 保険料 | 生命保険・医療保険・火災保険・自動車保険 | 年払いは支払う年に計上 |
| 特別な支出 | 帰省・家電買い替え・冠婚葬祭・車検 | 年間予算をまとめて1行でも可 |
| 結果欄 | 年間収支・貯蓄残高 | 前年残高+年間収支で計算 |
特に詰まりがちなのが、帰省費や車検のように毎年は発生しない「特別な支出」です。
特別な支出の洗い出しに使える一覧表と年間予算の考え方は、LINE特典の「ライフイベント別 平均額ガイド」にまとめています。
表の空欄を埋める手がかりとしてお使いください。
ライフプラン表を自分で作るときの注意点5つ

以下では家計相談で実際に拝見した表をもとに、よくある間違いを紹介します。
作る前に目を通しておくと、遠回りを減らせます。
注意点1 収入を額面で書いてしまう
くり返しになりますが、いちばん多い間違いです。
額面と手取りの差は収入や家族構成で変わりますが、決して小さくありません。
ここを取り違えると、表全体が実態に比べて明るく見えてしまいます。
注意点2 物価の上昇を入れていない
生活費も教育費も、10年後に今と同じ金額とはかぎりません。
厳密な計算は複雑になるため、まずは「生活費は毎年1%ずつ増える」などの簡単な前提を1つ置いてみましょう。
前提ありの表と前提なしの表を見比べると、差の大きさを実感できます。
注意点3 運用利回りを高く見積もりすぎる
投資による増加を表に入れる場合、高い利回りを前提にすると将来の残高が実態とかけ離れます。
相場は上下するもので、思いどおりに増えない年も出てくるはずです。
低めの前提で計算し、成り立つかを確認すると判断を誤りにくくなります。
「必ず増える」前提での計画は避けてください。
注意点4 収入が下がる可能性を想定していない
育児休業・転職・病気やけがによる休職・定年後の再雇用など、収入が下がる場面は誰にでも起こり得ます。
右肩上がりの表しか作っていないと、実際に収入が減ったときに対策が取れません。
収入が下がる想定の表も1つは別に作っておくと安心でしょう。
注意点5 1回作って終わりにしてしまう
ライフプラン表は作った瞬間から古くなっていきます。
転職・出産・住宅購入・金利の変化など、前提が変わるたびに数字がずれるのは避けられません。
いちばん良くないのは、5年前に作った表を根拠に高額な契約を決めてしまうことです。
ライフプラン表を作ったあとの使い方|年1回の見直しで精度が上がる

作った表はしまい込まず、使ってこそ意味があります。
私が家計相談でおすすめしているのは、次の3つの使い方です。
使い方1 「貯蓄残高がいちばん減る年」を確認する
表のなかで貯蓄残高が最小になる年を探し、残高が生活費の何か月分にあたるかを確認しましょう。
残高が薄すぎる場合は、手前の年に備えを厚くしておく必要があります。
突発的なできごとに備えるお金の考え方は、生活防衛資金の記事でくわしく整理しています。
使い方2 大きな支出の「判断材料」にする
住宅購入・車の買い替え・私立進学など、高額な決断の場面では支出を表に入れて計算し直してください。
入れる前後で貯蓄残高の推移を見比べると、「今は決めないほうがよい」「時期をずらせば成り立つ」などの判断がつきます。
使い方3 年1回、決まった月に更新する
年末年始や誕生月など、時期を決めて年1回更新するのがおすすめです。
前年の実績と表の予測を見比べ、ずれた原因を確認しましょう。
確認をくり返すと、翌年の予測の精度が目に見えて上がっていきます。
手計算での更新が負担な場合は、当サイトの無料シミュレーターと結果を突き合わせても構いません。
よくある質問(FAQ)
Q1 ライフプラン表は何年分作ればよいですか?
目的によって変わります。
教育費のやりくりが目的の場合はお子さんが独立するまで、老後の見通しが目的の場合は90歳前後までが目安です。
ただし、遠い将来ほど前提のずれは広がるでしょう。
最初は5年分から始め、慣れてきたら期間を伸ばしてください。
Q2 手書きと表計算ソフト、どちらがよいですか?
続けられるほうで構いません。
手書きは自分の手で数字を動かすため、家計の構造が記憶に残る良さがあります。
表計算ソフトは計算が自動なので、前提を変えて何度も試す使い方に向いています。
前提を変えながら比べたい方は、表計算ソフトを選びましょう。
Q3 収入や支出が毎年バラバラで書けません。どうすればよいですか?
直近2〜3年の平均額を使ってください。
自営業やフリーランスの方のように変動が大きい場合は、平均に比べて少し低めの収入で計算すると安全側の見通しになります。
Q4 途中で赤字になる年が出てきました。失敗でしょうか?
失敗ではありません。
むしろ、事前に気づけたことが成果です。
赤字の年が見つかったら、支出を前後にずらせないか、手前の年に備えを積めないか、金額を下げられないかの順に検討しましょう。
赤字の年が出ない表を作るのが目的ではなく、出たときの対処を早めに考えるのが目的です。
まとめ:ライフプラン表は「70点」で作り始めてよい
本記事のポイントを整理します。
- 家計の将来を1枚で見える化する表
- 年齢・イベント・収入・支出・残高の順の5ステップ
- 収入は額面ではなく手取りで記入
- 物価上昇や減収も簡単な前提で想定
- 作ったあとは年1回更新し判断材料に活用
ライフプラン表は完璧に作ろうとするほど手が止まります。
空欄があってもかまいませんし、金額が1万円単位でも十分に役立つでしょう。
まずは5年分の「70点の表」を1枚作ってみてください。
1枚作るだけで、漠然とした不安の輪郭が数字として見えてきます。
作る途中で「項目の相場がわからない」と手が止まる場面もあるでしょう。
手がかりとして、LINEでは家計づくりに使える資料を11種類お配りしています。
表の空欄を埋める作業にお役立てください。
ご自分で作った表をもとに具体的に整理したい場合は、FP事務所MoneyQuestの個別相談もご利用いただけます。
なお本記事は一般的な情報提供であり、特定の金融商品をおすすめするものではありません。
最終的なご判断はご自分の状況に合わせてお決めください。